診療予約

アクセス情報

2025.04.23

加熱式タバコのお口の健康への影響

こんにちは、蔵元歯科医院、衛生士の蔵元です。

今回は加熱式タバコがお口の健康に影響を与えるかについて説明したいと思います。

 

加熱式タバコには紙巻きタバコと同じタバコ葉が使用されています

紙巻きタバコとの大きな違いは、煙ではなく「水蒸気(エアロゾル)」を吸うことです。

タバコ葉に含ませたグリセリン類によって蒸気を発生させて煙の代替とします。

紙巻きタバコ同様、タバコ葉が用いられますが、直接タバコ葉に火をつけるのではなく、熱を加えてニコチンを発生させて吸引します。

一方、電子タバコは、タバコ葉でなく、ニコチン等が入ったリキッド(溶液)を加熱してミスト化(気化)させ、その蒸気を吸引するものです。

日本製の電子タバコの場合、紙巻きタバコや加熱式タバコと異なり、ニコチンが含まれていないのが大きな特徴です。

 

加熱式タバコにも依存性を高めるニコチンが含まれています

禁煙のステップとして紙巻きタバコから電子タバコへの切り替える方も多いと思います。

しかし、先述のとおり、どの加熱式タバコのも、ニコチン依存症の本態であるニコチンが混入されています。

「禁煙しよう」と一歩踏み出せたことは大きな前進ですが、残念ながら「加熱式タバコ=禁煙」ではありません。

 

「有害性成分の量」=「有害性の程度」ではありません

加熱式タバコのパンフレットでは、有害性成分の量に関して、紙巻きタバコと比べ「約90%低減」と謳われています。

しかし、よく見るこれらは、健康に及ぼす悪影響が小さくなる(リスクが減る)ことを意味するものではないことが、各製品のパンフレットにも記載されています。

さらに、多数含まれる有害物質のうち作為的に選んだものだけを示しているものもあり、注意が必要です。

加熱式タバコのエアロゾルと紙巻きタバコの煙に含まれる主な成分を比較した報告によると、それぞれ紙巻きタバコに比べ含有量は低減されたこと、さらに、主流煙に含まれるタールなどの成分も減っていることがわかっています。

しかし、元来、紙巻きタバコの有害性はかなり強く、環境汚染物質の基準と比べても数10倍~100倍以上です。各メーカーが主張するように、加熱式タバコの有害性物質が10分の1になっているとしても、環境基準を安全にクリアできるレベルにさえなっていないのです。

国際がん研究機関が指摘するタバコの有害化学物質のなかには、加熱式タバコ含有物があります。具体的にはIARC発がん性分類の5段階のうち、人に対する発がん性があり科学的根拠がいちばん強い「グループ1」に分類されるブタジエン、2‐1アミノナフタレン、4‐アミノビフェニル、ベンゼン、ベンゾ【a】ピレン、ホルムアルデヒド、N‐ニトロソノルニコチン、4‐(メチルニトロソアミノ)‐1‐(3‐ピリジル)‐1‐ブタノンなど、呼吸器系や心血血管系の障害、胎児の発育や脳への発達障害を引き起こす物質が含まれているのです。

※ニコチンが含まれていないとはいえ、電子タバコに使用されているリキッドの添加物には、大麻の成分があり、以前から健康への悪影響が指摘されているテトラヒドカンノール(THC)、肺毒性が報告されているビタミンEアセテート(トコフェロール・コハク酸エステル)、加熱により発がん性物質のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレインなどに変化するグリセロール、プロピレングリコールなどが含まれると報告されています。

 

口腔内やからだへの影響は紙巻きタバコと同程度と考えられます

加熱式タバコが広く普及するようになってからまだ日が浅いこともあり、加熱式タバコに起因する健康被害に関する長期データや口腔疾患、口腔がんや歯周病に関するデータが揃っていません。

しかし、虚血性心疾患のリスクは、紙巻きタバコの吸う本数が少なくても、受動喫煙であっても急激に上がり、喫煙に容量的なリスク低減効果のないことがわかっています。

すなわち、たとえ有害物質が少なくなっていても、健康へのリスクが下がるわけではないのです。

 

肉眼で見えない煙が出ており、受動喫煙は起こります

前述のとおり「煙ではなくエアロゾルを吸う」ことが特徴の加熱式タバコでも、受動喫煙被害は発生します。

加熱式タバコユーザーは、前述したニコチンを含む有害物質などを吸引しますが、それらすべてを体内で吸収せず呼気に含み、吐き出しています。

その呼出煙を周囲が吸い込むことで、受動喫煙が起こるしくみは紙巻きタバコと全く変わりありません。

加熱式タバコを吸っているところを2次元レーザーで可視化すると、白いエアロゾル(液体の微小な粒子とガスの混合物)が発生し3m先まで広がっているようすが鮮明になります。

つまり、肉眼で見えにくいだけなのです。紙巻きタバコと違いすぐに見えなくなるのは、液体の微小粒子は気温で気体に変化し、粒子径が小さくなって光を反射しにくくなるからとされています。

また、高温加熱タバコ(アイコス、グロー)では、特有の臭いが周囲に拡散しているのが明らかです。

一方、低温加熱式タバコ(プルームテック、リルハイブリッド)では、アルコール系有機溶剤のエアロゾルが主成分であるため、臭いが軽くなっています。このことが曝露を気づきにくくし、喘息や化学物質過敏症のある方が、回避できず、数時間後に遅延型反応を起こす原因となる場合があります。各メーカーは、「禁煙でも、加熱式タバコなら問題ない」というような掲示を作成して普及させようとしていますが、禁煙場所での加熱式タバコの使用は容認することはできません。

禁煙は容易なことではありませんが、周囲や自分自身にも有害であることを考えると禁煙を頑張れる一歩かもしれませんね。

 

電子タバコの口腔内に及ぼす影響

・加熱式たばこにはニコチンが含まれるため、歯周組織に悪影響を与えます。ニコチンは血管を収縮させ、歯肉への血流を減少させるため、歯肉へ悪影響を及ぼします。血流が減少すると、歯肉が栄養や酸素を十分に受け取れなくなり、免疫力が低下します。これにより、歯周病のリスクが増加します。歯周病が進行すると、歯を支える骨が徐々に破壊され、最終的には歯の喪失につながることがあります。

 

・加熱式たばこの使用によって、口腔内の環境が変化することも問題です。加熱式たばこは紙たばこほど煙を発生させないため、タールの影響は軽減されますが、ニコチンや他の化学物質が口腔内に留まることで口臭が発生する可能性があります。特に、加熱式たばこは口腔内を乾燥させる傾向があり、口腔内乾燥を引き起こすことがあります。唾液の分泌が減少すると、細菌が増殖しやすくなり、虫歯や歯周病、さらには口臭の原因となります。

 

・加熱式たばこに含まれる化学物質が口腔内の粘膜に影響を与え、口腔粘膜の炎症や口内炎引き起こすこともあります。長期間使用することで、口腔内の粘膜が継続的に刺激され、炎症を起こしやすくなります。この状態が続くと、慢性的な粘膜のダメージが蓄積し、口腔内の健康状態が悪化します。

 

・加熱式たばこを使用することで、口腔がんのリスクへの影響が完全に排除されるわけではありません。紙たばこに比べて発がん性物質の排出量が少ないとはいえ、加熱式たばこにも一定量の発がん性物質が含まれている可能性があります。長期的に使用することで、口腔内の組織にダメージが蓄積し、口腔がんのリスクが増加することが懸念されています。

 

診療メニュー

日々の暮らしをより健やかに

お電話でのご予約・ご相談はこちら

PHONE CALL TEL 048-444-6677

インターネット予約はこちら

ONLINE RESERVATION 診療予約

お急ぎの方はこちらから
蔵元歯科医院へお電話

24時間 WEB予約