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2024.10.28

機能的要素でわかる、こどもの歯列(歯並び)不正の原因

こんにちは、衛生士の蔵元です。

前回、こどもの歯列(歯並び)不正の解剖学的要素について説明しました。

今回は機能的要素について説明したいと思います。

 

①指しゃぶり

やめられないと歯列に影響します。

赤ちゃんの指しゃぶりは、口の機能発達にとって非常に重要です。特に生後12か月頃までに指やいろいろな物をしゃぶるのは、目でみて手を動かし、味や形を覚えて動きを強調させるための行動と考えられています。つかまり立ちを始め、1歳以降、遊びが広がるにつれて減っていくと言われています。徐々に減っているようであれば、まったく心配はないでしょう。ただし、2歳半を過ぎても指しゃぶりが続くと、前歯の間が空いてしまうなど歯並びへ悪影響がでることもあります。2歳半を目安にやめられるようにしましょう。4~5歳頃まで続くようであれば、専門医に見てもらった方が良いでしょう。

 

 

②舌癖

開咬につながります。

歯と歯の間に舌を挟み込むような癖を「舌癖」といいます。歯はつねに伸びようとしていますが、舌を挟み込むことによって歯が伸びず、奥歯が咬んでいても上下の前歯があたらないような「開咬」という噛み合わせになってしまいます。つばを飲み込むときに歯に舌を押し当てたりしてないか、喋るときに舌が歯の間から見えていないかなどをチェックします。

 

 

③口呼吸

舌癖や口唇閉鎖不全につながります。

生きていくために呼吸は必要ですが、鼻がつまっていて口でしか呼吸できないとさまざまな弊害があります。たとえば、食べた後の食器をそのまま外に置いておくとカピカピになり汚れがこびりついてしまいます。口の中も同様で、口で呼吸すると口の中が乾いてしまうため、汚れがこびりつきやすく口臭や着色の原因になります。くちびるのラインに合わせた着色は口呼吸のバロメーターです。汚れが付きやすいという直接的な影響以外にも、口で呼吸することで空気の通り道を確保するために、舌が下がって歯に触れてしまう事で歯並びにも影響します。

 

 

④クレチング(食いしばり、噛みしめ)

クレチングは過蓋咬合を引き起こします。

噛みしめが強いと、奥歯が低くなることで噛み合わせは深くなり、正面からみて下の前歯が見えない「過蓋咬合」といわれるような状態になります。噛みしめがある場合、自然に硬いものが好きになる傾向があるので、硬いものやガム、グミばかり食べないように気をつけましょう。「歯並びを気にして、あえて硬いものを食べさせたい」という親御さんもいらっしゃいますが、強く咬むのではなく「優しくたくさん咬む」のが「よく咬む」ことの正しいイメージです。また、頬杖やうつ伏せ寝なども、噛みしめと同じようにあごに押しつけるような力がかかってしまいます。親御さんは頬杖を見つけたら注意し、うつ伏せ寝は見つけたら仰向けに転がしてあげてください。

 

 

⑤偏咀嚼

歯列や顔貌の歪みにつながります。

片方ばかりで咬むような習慣があると、咬む側ばかりに力がかかり、咬む側の歯がすり減ったり、圧がかかって歯がめり込むことで歯が低くなります。低い方にあごが徐々にずれていくことで、さらに上下の前歯の真ん中(正中)のずれがみられるようになります。あごの位置自体がずれているので、顔も歪んで徐々に曲がってきてしまいます。

 

 

⑥咬唇癖

上顎前歯の前突につながります。

主に上の前歯の裏で下くちびるを挟み込むような癖を「咬唇癖」といいます。下くちびるが上の前歯を前に押し出すことで、いわゆる「出っ歯」の状態になります。出っ歯になると、さらに下くちびるが上下の前歯の間に入りやすくなるため、悪循環になりどんどん前歯がでてしまう可能性があるので、注意が必要です。

 

⑦舌小帯強直症

舌が動かしにくいため低位舌につながります。

舌の裏側にあるヒダ(舌小帯)が張っていると、舌が下あごに引っ張られて必然的に下に下がってしまうため、上下の歯と歯の間に舌を挟み込むような癖(舌癖)が出やすく、奥歯が咬んでも前歯があたらないような「開咬」の原因となります。舌を「べーっ」と下に出したときにハート型に割れるような場合は、舌小帯が張っていて舌がつれている可能性があります。舌小帯が張っていると、舌が動かないために構音障害の問題がでることもあります。

 

まとめ

指しゃぶりなど周りからみてわかりやすい口腔習癖もありますが、最初は子供たちを見て口腔習癖があるかどうか、なかなか発見できないと思います。そこで、歯列などをよく観察して何か問題があれば、その原因を考えて、心配であれば、歯科医院でみてもらいましょう。

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