2026.06.19
NCCLとは?歯の根元が削れる原因・症状・予防法を歯科衛生士が解説
蕨市の歯医者、蔵元歯科医院・衛生士の蔵元です。
「歯ブラシが当たるとしみる」「歯の根元がえぐれてきた気がする」そんなお悩みはありませんか?
実はそれ、虫歯ではなくNCCL(非う蝕性歯頚部歯質欠損)が原因かもしれません。
NCCLは虫歯菌とは無関係に、歯の根元付近の歯質が少しずつ失われていく状態で、気づかないうちに進行していることが多い症状です。
この記事では、NCCLの主な原因・進行のサイン・治療法・予防策まで、歯科衛生士の視点からわかりやすく解説します。
NCCLとは?虫歯ではないのに歯が削れる原因と仕組み

NCCLとは、虫歯以外の原因で歯と歯の境目付近の歯質を失うことで、NCCLの臨床像は非常に多岐にわたります。NCCLのケースにみられる共通点は、咬耗はあったりなかったりで、その他の歯面ではエナメル質(歯の表面の硬い組織)喪失は少なく、NCCL部はほぼ象牙質(歯の内側にある柔らかい組織)の欠損です。主な原因はアブフラクション、摩耗、酸蝕とされています。
1.アブフラクション
咬合力(噛む力)が歯頚部(歯と歯の境目)に伝わり、力がかかる地点から離れたところに起きる歯質の喪失のことです。主な特徴としては、部位は歯の根元のあたり、歯ぐきとの境目にできます。形はVやくさび状にえぐれたようになり、冷たいのもやブラシの刺激でしみるなど知覚過敏を起こしやすいです。
2.摩耗
対合歯(噛み合う歯)や歯ブラシなどに擦られて起こる歯質の喪失のことです。
咬合面(噛む面)では主に噛むことや何かをくわえる習慣などで起こりますが、歯頚部の欠損は、ほとんどは歯磨剤によって起こります。昔は粗い食べ物や食べ物に含まれる砂等が咬合面における摩耗の大きな原因でしたが、現代のNCCLに関しては歯磨剤に含まれる研磨剤が強く影響しています。つまり、象牙質を摩耗させているのは歯磨剤中の研磨剤であり、歯ブラシはその運び手なのです。
酸蝕や摩耗のみでもNCCLは生じますが、酸蝕に摩耗が加わることで喪失は拡大します。これをerosive tooth wear と言います。NCCLには複合的な要因によるerosive tooth wearが関与していることが示唆されています。
3.酸蝕 ※酸蝕単独でNCCLが再現されたことはないです
細菌が生産する以外の酸による歯質の喪失のことです。酸蝕は細菌が生産する以外の酸によって歯が溶けることで、歯頚部に限らず、酸に触れる面すべてに起こります。主に酸性飲食物摂取によりますが、習慣性嘔吐でも喪失が起こり、その場合胃酸が通る口蓋側(上の歯の裏側)が特に大きく喪失します。酸蝕は進行がゆっくりで痛みが出にくいため、自分では気づきにくいとされています。
酸蝕はNCCLとは対照的な特徴をもっていて、摩耗単独では減らないエナメル質を広い範囲で喪失させることができる点が挙げられます。また、歯肉縁に沿ってエナメル質が一層残ることも酸蝕の特徴です。これは歯肉溝滲出液(歯肉からにじみでる組織液)で酸が中和されること、歯肉縁付近ではプラークが残りやすく酸が表面に直接触れにくいことが原因と考えられています。これらの特徴は、歯頚部(歯と歯の境目)に限局して歯質(大部分が象牙質)が喪失するNCCLとは対照的です。
4.まとめ
■NCCLの進行と症状
初期段階では、歯の根元が浅く削られ、皿状の摩耗がみられます。進行すると、削れた部分が深くなり、くさび状の欠損が形成されます。これにより、知覚過敏や歯の破折のリスクが高まります。
■NCCLの治療法
・軽度のケース
知覚過敏がある場合、フッ素塗布や知覚過敏抑制剤の塗布が行われます。
・重度のケース
欠損が深い場合、コンポジットレジン(歯科用プラスチック)での修復が検討されます。しかし、原因が除去されなければ、修復後も再発する可能性があります。
NCCLの予防策
NCCLの原因は、強すぎる・誤ったブラッシング、酸による歯の溶け、歯ぎしり・食いしばりによる力の集中などがあります。
①ブラッシング習慣の見直し
・歯ブラシは「やわらかめ」は普通を選びましょう
・ペンを持つようにして把持し、軽い力で磨きましょう
・歯と歯ぐきの境目をゴシゴシ磨かず、小さく小刻みに動かしましょう
・研磨剤が強すぎない歯磨剤を選びましょう
・力が入りやすい利き手側の奥歯などは特に意識して優しく磨きましょう
②歯ぎしり・食いしばり対策
・就寝時のナイトガード(マウスピース)をつける
・日中の「くいしばり」に気づいたら上下の歯を離す習慣をつけるよう心がげましょう
・噛み合わせの異常が疑われる場合は歯科医院で相談し、必要に応じて歯を調整してもらいましょう
③酸と生活習慣への配慮
・酸性飲料(炭酸飲料、スポーツドリンク、柑橘系飲料など)をだらだらのまない
・摂取したらすぐには磨かず、水で口をすすいでから時間をおいて柔らかい歯ブラシで優しく磨きましょう
・胃食道逆流症など、胃酸逆流が疑われる場合は医科とも連携して対策しましょう